人口増加で2050年に食料危機が起きるという主張があるが、世界の穀物の実質価格は1世紀以上も低下傾向にある。人口の増加を穀物生産の増加が上回ったからである。しかし、穀物価格は短期的に高騰するときがある。所得の半分以上を食料消費に充てている途上国の人たちは、穀物価格が3倍になると買えなくなって飢餓が生じる。
2024年スーパーの店頭からコメが消えるという騒動が起こった。猛暑による精米歩留まり低下という供給の減少やインバウンド消費などによる需要の増加などをきっかけとしたものであるが、この騒動を起こした根源的な原因として1970年から継続されているコメの減反(生産調整)政策がある。農林水産省はコメ不足を認めようとはせず、備蓄米の放出を行わなかった。
所得税の基礎控除引き上げ論議が政治的に混迷しており、先行き不透明感が高い。制度改正により「103万円の壁」をなくすとともに、勤労者の手取り収入を増やすのが目的とされている。しかし、減税による手取り増加は1回限りの「水準効果」なので、減税額を増やし続けていかない限り、翌年度以降は所得へのプラス効果が剝落する。手取り所得を増やすことを目的とした定額減税や給付金の場合、翌年度には所得の「反動減」要因にな ...